保育園や幼稚園に通い始めると、家族以外の他者とのコミュニケーションをとる機会がグンと増えます。そこで大切になるのが「挨拶をすること」です。
お友達や先生に「おはようございます」と挨拶をされて、子どもが挨拶を返さず、ママやパパが「おはようございますって言うんだよ」と言う…なんて経験のあるパパ・ママもいらっしゃるのではないでしょうか。ちゃんと挨拶ができる子になってほしいと思うものですよね。
今回は、他者とのコミュニケーションをとる時に大切な「子どもの挨拶」のお話です。
恥ずかしい
子どもは大人と比べて、自分の気持ちを言葉にすることが得意ではありません。特に初対面の人や大人に対しては、緊張したり恥ずかしがったりすることがよくあります。頭の中では「挨拶しなくちゃ」と思っていても、声に出せないこともあるのです。
言葉の発達がゆっくり
言葉の発達がゆっくりな子や、まだ言葉を使い始めたばかりの年齢の子どもにとっては、「こんにちは」や「ありがとう」といった挨拶の言葉をタイミングよく口にすること自体が難しいこともあります。
家庭でのやりとりが少ない
家庭や周囲の環境の影響も大きく関わっています。家の中で挨拶を交わす習慣が少ない場合、子どもが挨拶を自然に身につける機会も減ってしまいます。
過去に否定的な経験がある
また、過去に挨拶をして無視されたり、恥をかいたような経験があると、「また嫌な思いをするかも」という気持ちから挨拶を避けるようになることもあります。
発達特性の可能性
発達障害(例:自閉スペクトラム症)などの特性により、相手の表情やタイミングが分からないことも。
「空気を読む」「適切なタイミングで話す」が苦手な場合があります。
子どもが自分から挨拶できるようになる年齢は、一般的には3〜5歳ごろが目安とされています。ただし、これはあくまで平均的な目安であり、個人差があります。
年齢ごとの挨拶の発達の目安
●1歳ごろ
・まだ言葉での挨拶は難しい。
・手を振って「バイバイ」などのジェスチャーでの挨拶が始まる。
●1歳半~2歳
・「バイバイ」「おはよう」など単語で挨拶する子が出てくる。
・ただし自発的ではなく、大人のマネや促しによることが多い。
●2歳半~3歳
・2語文で「おはよう せんせい」など言えるようになる。
・タイミングや相手を理解し始めるが、恥ずかしさから言わないことも多い。
●3歳半~4歳
・状況に応じて自分から挨拶できるようになる子が増えてくる。
・社会性が育ち始め、挨拶の意味(人とのやりとり)も少し理解できるように。
●5歳ごろ
・ほとんどの子が「こんにちは」「ありがとう」などを状況に応じて使える。
・大人がいなくても自分から挨拶できることが多くなる。
挨拶は「しつけ」ではなく「育ち」
挨拶は単に言葉を覚えるだけでなく、社会性・感情のコントロール・相手の存在を意識する力など、複数の要素が関係しています。そのため、年齢だけで判断せず、子ども一人ひとりの発達段階を見ながら関わることが大切です。
挨拶ができるようになるために大切なこと
・親の見本
パパ・ママが日常的に明るく挨拶していると、子どもも自然と真似します。
・無理に強制しない
恥ずかしがる時期は誰にでもあります。嫌がる時は無理をさせず、繰り返しの経験を大切に。「挨拶してくれてうれしいな」と伝える:ポジティブなフィードバックがやる気につながります。
もし「なかなか挨拶ができない」と感じる場合でも、発達のスピードは人それぞれなので、焦らず見守ることが大切です。
親や大人が手本を見せる
・子どもは大人の行動をよく見ています。パパ、ママが普段から「おはよう」「こんにちは」「ありがとう」など、気持ちのこもった挨拶をしていると、子どもも真似します。
無理に言わせない・恥ずかしがりを尊重する
恥ずかしくて声が出ないこともあります。無理に言わせようとすると逆効果です。挨拶できなかった時は「言いたい気持ちはあるんだよね」と気持ちに寄り添いましょう。
成功体験を積ませる
挨拶ができたら「うれしいね」「相手もニコニコしてたね」とポジティブに伝えましょう。周囲の大人が笑顔で返してくれると、「挨拶って気持ちいい」と感じるようになります。
遊びや絵本で学ぶ
挨拶をテーマにした絵本やごっこ遊びを通じて、自然と身につけることができます。
発達段階を理解する
3〜4歳はまだ言葉や気持ちのコントロールが難しい時期です。年齢に応じた期待を持ち、成長に合わせて少しずつ見守る姿勢が大切です。
挨拶は家の中だけでなく、保育園や幼稚園、習い事、住んでいる地域などさまざまな場所で必要になります。人とのコミュニケーションをとる場面で、とても大切なものです。挨拶を習慣にすることで、成長した時にも自然と自分から挨拶ができる子に育つはずです。
しかし、焦りは禁物です。挨拶が出来ないからと言って、きつく叱ったり、教養するのは抵抗感を覚えて、挨拶だけでなく人との関わりを嫌になってしまう可能性もあります。
まずは、パパ・ママが笑顔で挨拶をすることが大切です。子どもは何でも真似をしたがるので、きっと興味を持って真似してくれるようになります。