子育て中、パパ・ママの手が離せない時に助けになるアイテムが「動画」です。楽しくて学びにもなるコンテンツは子どもの好奇心を刺激し、知識を広げるきっかけになる一方、子どもの発育にとってよくないと言われています。
一度見始めたら、気付けば1時間、2時間も経っていた、なんてこともあります。特にYouTubeなどの短い動画は、関連するコンテンツが次々と表示されるため、子どもの興味を引き、時間を忘れて夢中になってしまいます。
動画視聴を短くしたい、やめたいなど視聴する上でのルールや制限に関して気になっているパパ・ママも多いのではないでしょうか。
今回は幼児期の動画視聴におけるメリットとデメリット、ポイントについてお話します。
視覚・聴覚の刺激で理解が深まる
絵や音、動きがあることで、物の名前や形、色、数などの概念が理解しやすくなります。特に集中力が短い幼児でも、アニメーション形式だと興味を引きやすいです。
生活習慣や社会性を学べる
トイレトレーニング、手洗い、あいさつなどを扱った動画で、行動の模倣が促されます。登場人物のやりとりを通して、感情やマナー、他者との関わり方を学ぶことができます。
想像力・創造性を刺激する
お絵描き、折り紙、リトミック、ダンスなどのコンテンツで表現の幅が広がります。また、動画を見て実際にやってみようとする「模倣→実践」の動きが育ちます。
親子のコミュニケーションのきっかけになる
一緒に見て話しながら「これ何?」「面白かったね」と対話が生まれやすいです。パパ・ママが内容を把握しやすくなるため、安全面でも◎。
言語発達の遅れ
一方通行の映像は、対話の機会が減り、言葉を使う力が育ちにくくなります。幼い子どもは言語を習得するときは、直接人と対話し、関わり合うことが大切です。動画ばかりになってしまうと、他人との関わりや感情表現が乏しくなります。特に0~2歳は「人とのやりとり」が言葉の発達に不可欠です。
集中力の低下・依存傾向
刺激が強く、展開の速い動画に慣れると、静かな遊びや読書に集中できなくなることがあります。見たい気持ちが抑えられず「やめたくてもやめられない」状態になることもあります。
睡眠不足や睡眠障害に繋がる
テレビなどの動画は、幼児期の睡眠に影響があることが分かっています。特に夜に動画を1時間以上視聴すると、十分な睡眠時間を取れなくなると言われています。寝る前の動画視聴で、脳の興奮状態が続き、寝付きが悪くなります。子どもは睡眠を通して、どんどん成長していきます。夜は静かに過ごすことを意識してみましょう。
暴力的・攻撃的になりやすい
暴力的なコンテンツを視聴した子どもは、暴力的・攻撃的になりやすいと言われています。
動画を見ないと大人しくならない
外食中や何かを待っている時など、スマホを見せないと大人しくしてくれないという子どもも居ます。パパ・ママとしては、あまり外で動画を見せたくないけれど、どうしても騒がしくする・大人しく座ってくれないのでスマホを見せてしまっている、トいう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、子どもは「動画を見たい。騒ぐと動画を見せてくれるから騒ぐ。」になってしまっているのです。この習慣を崩すのは簡単なことではありませんが、どこかで踏みとどまらなければ、それがどんどん習慣化してしまいます。
視聴時間の制限
・年齢に応じた視聴時間を設定しましょう。
例:2〜5歳は1日1時間以内(米国小児科学会のガイドライン)
・長時間の視聴は、睡眠や運動、社会的な交流の妨げになります。
年齢に合ったコンテンツを選ぶ
・教育的価値がある内容、ポジティブなメッセージを含む動画が望ましい。
・暴力的、性的、差別的な内容を含む動画は避ける。
パパ・ママと一緒に見る(共視)
・一緒に見ることで、内容について話し合ったり、価値観を共有したりできます。
・子どもが理解できていないことや誤解していることに気づけます。
視聴後の対話を重視
・「どんな話だった?」「どう思った?」などの問いかけで、思考力や感情表現を育てましょう。
視聴環境の整備
・視聴場所(リビングなど)を決めておくと管理がしやすくなります。
・寝る直前の視聴は避ける(睡眠の質に悪影響)。
広告やアルゴリズムの影響に注意
・YouTubeなどの無料プラットフォームは広告が多く、意図せぬコンテンツに触れる可能性があります。
・YouTube Kidsやフィルタリング機能の活用を検討しましょう。
パパ・ママ自身が「見せ方」を考える
・ご褒美として動画を見せるか、学びや交流の手段として活用するかによって子どもの受け止め方が変わります。
「見る前にルール」を決める
視聴前に「◯分見たらおしまい」と約束しておきましょう。「あと5分で終わるよ」と事前に声をかけることで気持ちの切り替えを促します。
タイマーを使う
キッチンタイマーや砂時計など、視覚的に時間が見える工夫がおすすめです。また、子ども自身が「時間を意識する」習慣づけにもなります。
終わった後の楽しみを用意する
「動画の後は一緒に絵本読もう」「おやつタイムにしよう」など、動画以外の楽しみを作ってあげましょう。動画を見終わっても楽しみがある、という気持ちを持たせてあげましょう。
見せっぱなしにしない
子ども一人に任せると、つい延々と見てしまいがちです。パパやママも一緒に見て、タイミングを見て切り上げやすくするのがよいでしょう。
コンテンツの質を上げる
長く見るなら、知育要素のあるものやストーリー性のあるものの方がよいです。短い・刺激が強い動画は、よりやめづらくなります。
子どもに大人しくしてほしくて動画を見せていると、どうしても良くないんじゃないか、周りの目が気になる…というパパ・ママが多いと思います。
子どもの動画視聴は、適切な内容と時間を守れば、学びや心の成長につながる多くのメリットがあります。
映像や音声を通じて、文字や会話だけでは理解しにくい内容も直感的に理解でき、好奇心を刺激するきっかけになります。また、語彙力や表現力の向上、異なる文化や考え方への理解など、視野を広げる手助けにもなります。さらに、創造力を養うアート系の動画や、感情や人間関係を学べるストーリー動画などは、子どもの内面の成長にも良い影響を与えます。
大切なのは、パパ・ママが適切に関わりながら「ただの娯楽」で終わらせず、「学びや気づき」に変えていくことです。