子どもが読んだり書いたりできるようになるのは、何歳ごろからなのでしょうか。
ひらがなに興味を示し、読めるようになるのは4~5歳くらいです。ただし、興味を持つタイミングや習得するスピードは個人差が大きいのです。3歳からひらがなを読む子もいれば、6歳でも難しい子もいます。小学校入学前にひらがなをある程度読めるようにするのが理想ですが、焦らずに子どものペースに合わせて学習を進めることが大切です。
今回は、子どもの読み書きについてお話します。
1~2歳ごろ(乳幼児後半~幼児期初期)
この時期は「読む・書く」の準備段階です。
・絵本の読み聞かせが効果的
→ 言葉への興味が育ち、語彙も自然と増えます。
・クレヨンや指で「描く」遊びを通して、書く感覚に触れ始めます。
3~4歳ごろ(幼稚園年少~年中)
この頃になると、少しずつ「文字」への関心が芽生えます。
・ひらがなの一部を「読める」ようになる子もいます。
・名前や身近な単語(「ママ」「いぬ」「あめ」など)を書こうとする子も。
ここでは「遊び感覚」でのアプローチが大事です。 無理に教え込む必要はありません。
5~6歳ごろ(年長)
・早ければいいというものではなく「子どもが楽しんで取り組めるか」が大事です。
・興味が出てきたときに、それをうまく伸ばしてあげるのが理想です。
基本は「読む → 書く」の順が自然です
なぜ「読む」が先?
・目で見て「意味がわかる」ことで、文字に興味が湧く
・たくさん読んで語彙やリズムに触れると、書くときに役立つ
・まだ手先が不器用なうちは、読むほうが負担が少ない
「書くことが好きな子」もいます
逆に「おえかき感覚で文字を書くのが好き!」という子どももいます。そういう子には、無理に「読むのが先だよ!」とせずに、書きながら覚える=「書くことを通して読む」に繋げる方法もあります。書くときも「これは“あ”だね」って声かけると、自然に読みも身につきます。
文字に気づく(2歳後半~3歳ごろ)
ねらい:文字が「言葉」として意味を持つものだと知る
・絵本の読み聞かせで、文字を指でなぞりながら読む
・看板やパッケージを見て「これ、“あ”って書いてあるね!」と声かけ
・親が楽しそうに読んでいる姿を見せることも大切です
この時期は、文字に対する「気づき」がスタートする段階です。
名前など身近な単語を読む(3~4歳ごろ)
ねらい:簡単な単語や、自分の名前などから「読む喜び」を知る
・自分の名前(例:「さくら」)を読むところから始めましょう
・「まま」「いぬ」「あめ」など、短くて意味のある言葉に触れる
・カードやシール、ひらがな積み木などを活用するのもおすすめです
「読めた!」という達成感が、次の学びへのモチベーションになります。
一文字ずつ読む(4~5歳ごろ)
ねらい:ひらがな50音を、1文字ずつ認識できるようにする
・ひらがな表を使って、「これは“い”だね〜」と一緒に指差し
・パズルやあいうえおの歌なども活用し、遊びながら覚える
・お風呂に貼れるひらがなポスターなどもおすすめです
焦らず「楽しみながら触れる」ことを意識しましょう。
音をつなげて読む(5~6歳ごろ)
ねらい:複数のひらがなを音としてつなげて読む力を育てる
・「いぬ」「さかな」「くるま」などの単語カードで練習
・簡単な文章の絵本(例:「ノンタン」シリーズ)を一緒に読む
・しりとりや言葉集め遊びなども効果的です
「音」と「文字」が一致しはじめると、読む力がぐんと伸びます。
文章を読む(6歳ごろ~)
ねらい:短い文や会話を自分で読むことを楽しむ
・「これはなんて書いてある?」とクイズ感覚で問いかけてみましょう
・絵日記やお手紙など、自分の気持ちを言葉にする機会も有効です
・絵と文がセットになった絵本を通して「読む楽しさ」を味わわせてあげましょう
読み書きの“実感”が得られると、自信につながります。
運筆の練習(4歳ごろ~)
ねらい:えんぴつを思い通りに動かせるようにすること
・クレヨン・太めのえんぴつで自由にお絵描き
・「迷路」「線結び」「点つなぎ」などの遊びも効果的です
この段階では、文字にこだわらず「手を動かすこと」が目的です。
形をまねて書く(4~5歳ごろ)
ねらい:ひらがなの形に慣れること
・点線や矢印つきの「なぞり書きプリント」がおすすめ
・名前の文字など、身近なものから始めましょう
・書き順がわかるポスターや動画も活用できます
「きれいに書ける」ことより、「書くことが楽しい」が大切です。
見て書く(5~6歳ごろ)
ねらい:手本を見ながら自力で書く力をつける
・お手本を見て、同じ形をまねして書く練習へ
・「あ」から順番にではなく、お子さまの興味のある文字から始めても◎
・練習は1日1~2文字で十分です
「この文字、昨日より上手になったね」と変化をほめてあげると意欲が高まります。
思い出して書く(6歳ごろ~)
ねらい:お手本がなくてもひらがなを書けるようになること
・「ままって書いてみて」「りんごって書ける?」と声かけ
・絵日記・お手紙・しりとりなど、使う場面を増やすと自然に覚えます
・書いたものを飾ったり、家族で見せ合ったりするのもおすすめです
書くことを「生活の中で活かす」と定着しやすくなります。
名前から始めるのがおすすめ
自分の名前は、子どもにとって特別で大切な言葉です。「○○ちゃんの“○”ってここにあるね!」などと声をかけると、自然にひらがなに興味を持つようになります。
絵本の読み聞かせで「文字」に注目してみましょう
絵本を読むときに、文字を指でなぞりながら読んであげることで、「これが“あ”っていう字なんだね」と意識するようになります。文字が大きめで、簡単な言葉が多い絵本(例:「ノンタン」「こぐまちゃん」シリーズなど)がおすすめです。
ひらがなを使ったおもちゃ・遊びを取り入れる
ひらがなパズル、マグネット、積み木など、遊びながら文字に触れられる教材が効果的です。ご家庭にあるもので文字カードを作るのも良い方法です。
「しりとり」で遊ぶ
「りんご → ごりら → らっぱ」など、しりとり遊びを通して音と文字をつなげる力が育ちます。親子で会話を楽しみながらできるので、自然と文字に親しみが湧きます。
お手紙ごっこやお絵かきの中に文字を取り入れる
「ママへ だいすき」など、短い言葉から書いてみるのもとても良い方法です。絵と一緒に文字を書くと、より楽しく取り組めます。
ひらがな表やポスターを貼ってみる
トイレやリビングなど、よく目にする場所にカラフルなひらがな表を貼っておくと、日常の中で文字が自然に目に入ります。「“いちご”はどこにあるかな?」と一緒に探すのもおすすめです。
子どものひらがな読み書きで大切なことは「楽しく・焦らず・その子のペースで」です。無理に教え込まず、「できた!」の喜びをたくさん感じられるようサポートしてあげてくださいね。