5月は最高気温が25℃以上の夏日や、30℃以上の夏日になることがあります。体がまだ暑さに慣れていたいため、気温が高くなる日に外で遊ぶ際には、屋外でも室内でも子どもの体調に注意し、水分補給と適度な休憩をとるようにしましょう。
最近では「暑熱順化(しょねつじゅんか)」という言葉を耳にすることが増えました。暑熱順化とは、体を徐々に暑さに慣れさせることで、暑い環境に適応できるようになる生理的な変化のことです。
人は運動や仕事などで体を動かすと、体内で熱が作られて体温が上昇します。体温が上がった時は、汗をかくこと(発汗)による気化熱や、心拍数の上昇・皮膚血管拡張によって体の表面から熱を逃がす熱放散で体温を調節しています。この体温調節がうまくできなくなると、体の中に熱がたまり体温が上昇、熱中症が引き起こされます。
うまく暑熱順化が進むと、汗をかきやすくなり、体の熱を効率よく外に放散できるようになります。
夏本番を迎える前に、暑さに慣れさせてあげると今からの熱中症対策になります。
今回は子どもの暑さ対策についてお話します。
毎日少しずつ外遊びを取り入れる
朝や夕方など、涼しい時間帯に15~30分程度の軽い運動(散歩、遊びなど)を続けると身体への負担が少ないです。暑い時間帯を避けるのがポイントです。
汗をかく経験を積ませる
運動や外遊びで汗をかくと、体温調節機能が育ちます。汗をかくとそれが身体の学習となり、体温を上手く調節できるようになります。汗をかいた後は、こまめに着替え・水分補給を忘れずに行いましょう。
エアコンに頼りすぎない工夫も
自宅の温度を急に冷やしすぎず、徐々に体を暑さに慣らしましょう。ただし、無理せず熱中症対策としてエアコンも適切に使うのが大切です。
水分補給と塩分補給をセットで
汗をかいた後は、水だけでなく塩分(ミネラル)も一緒に補給しましょう。体内に流れている血液は、およそ0.9%の食塩水と同じ浸透圧のものです。汗をかくということは、水分だけでなく塩分も一緒に失っているのです。なので水分補給をする際は、水だけでなく塩分も必要です。ミネラルなので麦茶や経口補水液、塩分タブレットなどもおすすめです。
暑熱順化には1~2週間かかる
すぐに慣れるものではなく、毎日の積み重ねが大事です。運動会やキャンプなどのイベント前から少しずつ始めましょう。
帽子は必須!通気性の良いものを選ぶ
直射日光が当たる頭は、暑さを感じやすい場所です。外出の際は必ず帽子をかぶりましょう。帽子は、つば広タイプや風通しのいいメッシュ素材のものがおすすめです。また、外で遊ぶときは「必ず帽子をかぶる」を習慣にしましょう。暑くなり始めた頃は帽子を忘れやすいので、習慣にすると子どもも忘れずに外に行く際にかぶってくれるでしょう。
こまめな水分補給
子どもに「水分をとりなさい」と言っても、なかなか思うように飲み物を飲んでくれません。のどが渇いていなくても、定期的に飲ませることが大切なので、飲むタイミングを決めましょう。
①朝、起きた時
②体を動かす前後
③食事・おやつ
④お風呂の前後
⑤就寝前
消化器官や胃の容量そのものが未発達な子どもにとって、一度にたくさんの量を飲むことは難しいものです。少量をこまめに飲ませてあげて、脱水症状にならないようにしましょう。
服装は涼しく・吸湿速乾素材がベスト
服装を調節することは、熱中症対策に効果的です。通気性がいい麻やコットンの素材、首元や袖口にゆとりがある服を選びましょう。また、黒や紺などの濃い色の服は太陽からの熱を吸収するため、体に熱がこもりやすいとされています。外で遊ぶ時は白やベージュなど明るい色の服を着用しましょう。
炎天下の外出・運動は避ける
外出は朝や夕方の涼しい時間帯にしましょう。比較的、熱さもやわらいでおり活動しやすい時間帯です。また、炎天下での運動や遊びは短時間にとどめ、休憩をこまめにとりましょう。
保冷グッズ・冷たいタオルの活用
首元を冷やせるクールタオルやアイスリングが便利です。保冷剤入りのタオルや帽子用冷却パッドも人気です。
体調チェックを習慣にする
顔が赤い、ぼーっとしている、ぐったりしている時は要注意です。早めに涼しい場所で休ませ、水分を飲ませましょう。
子どもは体が小さい分、暑さの影響を受けやすいです。子どもと大人、同じ暑い場所の中にいると20キロと60キロの人とでは、どちらも体の6割が水分だとすると、20キロの子どもが水分が少ないので熱の影響を受けて、すぐに体温が上がってしまいます。
特に乳幼児の場合、自分で暑い場所から逃げたり、水を飲んだり、服を1枚脱いだりすることが自らできないので熱中症のリスクが上がります。保護者のパパ・ママが注意してあげる必要があります。