7月になると各所で続々と「海開き」が始まります。「海開き」とは一般的に海水浴場を開設して利用できるようにすることをいいます。多くの海水浴場では、安全祈願の神事(神社によるお祓いなど)を行い、その年の海水浴の安全を願います。通常は7月初旬(多くは7月1日)に行われますが、地域によって前後します。
海開きが始まると海水浴を楽しむお子様連れの家族が多くいらっしゃいます。海辺で過ごす時間は、家族みんなが楽しい思い出を作る良い機会です。海水に触れることや、砂浜で遊ぶことなど、自然と触れ合いながら子どもとの絆を深めることができます。波の音を聞きながら景色を楽しんだり、リフレッシュしたりするだけではなく、子どもにとって多くのメリットがあります。
例えば、海水の冷たさや砂の質感は、普段のお砂遊びとは違った感触に、夢中になって遊ぶことでしょう。貝殻の硬さや海藻の柔らかさなど、さまざまな感覚刺激が脳の発達を促します。海はさまざまな生き物や自然を観察するチャンスもあり、海の生態系について学ぶ貴重な機会になります。自然への興味や好奇心が芽生え、海の生き物や環境に関心を持つきっかけになるかもしれません。
しかし毎年、海の事故が多く発生しています。海水浴は楽しいものですが、さまざまな危険があります。子どもにとって「初めての海水浴」ならなおのこと。事故を防いで楽しく遊ぶためにも、海にはどんな危険があるのかを知り、しっかりと対策をする必要があります。
今回は、子どもの海水浴についてお話します。
海に入る前の事前準備
・日焼け対策
帽子、ラッシュガード、日焼け止めを準備。特に子どもの肌は弱いので必須です。
・ライフジャケット・浮き具
泳げなくても安心。腕につけるアームリングよりも、しっかり体を支えるライフジャケットが◎
・水分補給
熱中症対策に、水筒やスポーツドリンクを持参しましょう。
・トイレの確認
トイレやシャワーの場所を事前に確認しておきましょう。
海に入るときの注意
・子どもから目を離さない
たとえ浅瀬でも、大人が常にそばにいて目を離さない。
・波の様子を確認
波が高い日や、離岸流の可能性がある日は遊泳を控えましょう。
・足元の確認
貝殻や石でケガをしないよう、ウォーターシューズを履かせましょう。
・クラゲ対策
夏の終わりにはクラゲが出ることもあるので、肌の露出を減らす&酢などの応急処置グッズも準備しましょう。
※刺したのが「カツオノエボシ」ではない通常のクラゲ(アンドンクラゲなど)の場合
→ 5%の食酢をかけて毒針を不活性化します。
・酢を使う理由:刺された場所に残っている刺胞(毒の針)を刺激せずに無力化するため。
・酢を使う量:刺された部分にたっぷりと。スプレーボトルがあると便利です。
※注意:「カツオノエボシ(※毒性が非常に強いクラゲ)」に刺された場合は、酢をかけてはいけません!→ 刺胞を刺激して毒がさらに出てしまうことがあります。
時間帯・場所選び
・午前中の海がベストです。午後になると日差しが強くなり、風も出てきやすいです。
・監視員がいる海水浴場を選びましょう。万が一に備えて、監視員や救護体制が整った場所が安心です。
・混雑を避けましょう。人が多いと見失いやすくなります。人の少ない時間を選ぶといいでしょう。
天気と海の状態の確認
レジャー当日の天気はもちろん、波の高さや風の強さ、潮の流れ(潮汐)も確認しておきましょう。波が高い日や、風が強い日は海に入るのを控えるのが賢明です。特に「離岸流(りがんりゅう)」と呼ばれる、沖に向かって流れる強い流れには注意が必要です。
遊泳区域を守る
海水浴場には、泳いでよいエリアがロープなどで区切られています。その範囲内で遊ぶことが基本です。遊泳区域外は、急に深くなっていたり、流れが速かったりすることがあります
体調管理と水分補給
炎天下で長時間過ごすと、熱中症の危険があります。定期的に日陰で休憩を取り、こまめな水分補給を心がけましょう。お茶や水のほか、汗で失われる塩分を補うためにスポーツドリンクも有効です。
日焼け・紫外線対策
海辺は日差しが強く、照り返しもあるため、短時間でも日焼けしやすくなります。帽子やラッシュガード、日焼け止めを使ってしっかり対策しましょう。子どもの場合は特に注意が必要です。
ライフジャケットや浮き具の使用
泳ぎが得意でも、海では突然足がつかなくなったり、波にさらわれることがあります。特に子どもや泳ぎに自信のない人は、浮き輪だけでなく、ライフジャケットの着用をおすすめします。
クラゲ・磯遊びの注意
夏の終わりごろになると、クラゲが増える時期です。刺されると痛みやかゆみ、腫れなどを引き起こすことがあるので、肌の露出はできるだけ控えましょう。また、岩場や磯で遊ぶときは、滑りやすい場所や鋭い貝殻・カニなどに注意が必要です。
ゴミは必ず持ち帰る
きれいな海を守るために、自分たちが出したゴミは必ず持ち帰るようにしましょう。ペットボトルやビニール袋が風で飛ばされないよう、重しをするなどの工夫も大切です。
波と遊ぶ
波打ち際に立ち、やってくる波を足でぴょんとジャンプしたり、追いかけたり、逃げたりするだけでも大笑い。子どもにとって波はちょっとしたスリルと好奇心のかたまりです。最初は手をつないで、少しずつ水に慣れていけると安心です。
砂遊び
砂浜では、山をつくったり、トンネルを掘ったり、貝殻を飾って「砂のケーキ」や「お城」を作ったりと、自由な発想で遊べます。道具がなくても、手だけで十分。海水をバケツで運んで「海のレストランごっこ」も盛り上がります。
宝探しごっこ(貝殻・シーグラス探し)
小さなバケツや袋を持って、砂浜を探検。「一番きれいな貝を見つけよう!」と声をかければ、自然と集中して探し始めます。見つけた宝物を帰りに家で飾るのも楽しみのひとつです。
浮き輪やビーチボールでのんびり
浅瀬で浮き輪に乗ってプカプカしたり、ビーチボールでキャッチボールをしたり。親子で笑いながらできる遊びは、安心感と楽しさが両立できます。
小さな生き物を観察する
岩場や波打ち際では、小さなカニ、ヤドカリ、魚などに出会えることもあります。無理に触らせず、「見て楽しむ」「そっと観察する」ことを教えるのも自然教育の第一歩です。
シャワーでしっかり洗い流す
まず帰宅したら、すぐにシャワーで体や髪をきれいに洗い流します。海水や砂、日焼け止めが肌に残っていると、かゆみや肌荒れの原因になることがあります。首の後ろや足の指の間など、細かい部分まで丁寧に洗ってあげましょう。髪の毛も塩分でゴワゴワしやすいので、シャンプーとコンディショナーを使ってケアすると良いです。
体調のチェック
次に、子どもの体調を確認します。海ではたくさん動いているので、帰ってくるとぐったりしていることもあります。軽い脱水や疲れが出ることもあるので、水分をしっかりと補給させてあげましょう。麦茶やスポーツドリンクなど、体にやさしい飲み物がおすすめです。
日焼け後のケア
日焼けしてしまった場合は、赤くなっているところを冷やし、そのあと保湿ローションやアロエジェルなどで肌をやさしくケアします。水ぶくれができた場合は無理に潰さず、清潔に保つようにしましょう。
食事と水分補給
食事は、消化のよいものでしっかりエネルギーを回復させてあげます。おにぎりやうどん、具だくさんのスープなど、胃にやさしいものがぴったりです。そして、できれば早めに寝かせて、体をしっかり休ませてあげてください。
着替えや荷物のケア
水着やタオルなど濡れたものはすぐに洗い、砂が入り込んだバッグや浮き輪などの荷物もよく洗って乾かしておきましょう。次に使うときのためにも、しっかりお手入れしておくと安心です。
次の日の朝のチェックポイント
体調に変化がないかを確認しましょう。発熱や疲れが残っているようであれば、無理せずゆっくり過ごすのがよいでしょう。
川遊びと同様、水難事故が多い海水浴。大人の目があれば未然に防ぐことが出来ます。パパ・ママが子どもの安全を確保して、楽しい海水浴にしてください。
海水浴は発見と感動にあふれた学びの場所です。ルールとマナーを守りながら、自然とのふれあいを存分に楽しんで、この夏だけの特別な思い出をつくってください。